みそと乳酸菌
発酵とは
微生物の酵素で種々の有機物を分解あるいは変化させ,それぞれ特有の最終産物を作り出す現象のことで、最終の物質の名称を取って「…発酵」と呼ばれます。たとえば酵母が糖をアルコールと二酸化炭素にするのをアルコール発酵,乳酸菌が糖を分解して乳酸を生成するのを乳酸発酵と言います。
みその製造では麹菌の酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど)により、米のでんぷんを糖化しブドウ糖などの甘みに、大豆のたんぱく質を分解してぺプチドやアミノ酸の旨みに、脂質を分解して脂肪酸(香りの元)にします。酵母菌はブドウ糖などをアルコールと二酸化炭素に分解し、アルコールと脂肪酸がエステル結合してみそ特有の香りを作り出します。
続いて分解で生成した物質をさらなる酵素反応(たんぱく分解や糖化など)やメイラード反応(アミノ酸と糖との化学反応)による熟成に進めて、みその特徴である色、香り、味を形成させます。
発酵と熟成のプロセスをよい状態にコントロールすることによりよい品質のみそを造ることができます。
乳酸菌とは
乳酸菌とは、糖分を分解して乳酸を主に作る微生物の総称です。
乳酸菌は17世紀にオランダのレーウェンフックにより発見されたと言われています。
自然界にある乳酸菌が存在する発酵食品として、ヨーグルトやチーズ、みそ、漬物、キムチなど、世界中にはさまざまな食品があります。 チーズは紀元前4000-2000年に作られており、日本のみそは紀元後700年代、日本の漬物は900年代に、韓国のキムチは1100年代に作られている記録があります。このように乳酸菌は、古代から人類に親しまれております。
人間の腸内には、約100種類(約100兆個)の腸内細菌がいると言われ、これらの菌が叢(草むら)のように群がって生育しているので、腸内菌叢または腸内フローラと呼ばれます。この中で善玉菌と悪玉菌のバランスがヒトの健康と密接な関係があります。
善玉菌はビフィズス菌、アシドフィラス菌、カゼイ菌などがあり消化吸収を助けたり、免疫活性を上げます。それに対する悪玉菌は大腸菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌などで、たんぱく質を分解し有害物質を作ります。
乳酸菌も善玉菌に属し、乳酸菌自体に加え、生成する乳酸は善玉菌に好影響を与え、腸内フローラのバランスを整えることから、人間の元気を支える源として一役買っています。
みそと乳酸菌
みその発酵においては、いろいろな微生物が寄与しますが、主要微生物は、麹、酵母、乳酸菌です。
その役割として、麹菌は各種酵素を生成し原料を分解し、酵母、乳酸菌は、乳酸、アルコール他各種の風味成分を発酵生成し、みその色、香り、味に影響を与えます。
みその発酵工程において乳酸菌が生成する乳酸は、味噌のPHを下げ、酵母が生育をしやすい環境を作ります。さらには、味噌の味に押し味や独特の酸味を付けたり、原料の臭みをマスキングしたり、熟成を抑えたり、みその色にさえを出すなどの効果もあります。
このように、みそ造りでは、乳酸菌により酵母が発酵しやすい環境を作り出す目的で乳酸菌を積極的に使う製造方法がありますが、蔵や原料由来の乳酸菌が含まれることもあります。ただし、乳酸菌の数はそんなに多くはありません。
したがって、乳酸菌を添加することにより、より健康に寄与できる、そのような商品開発も期待されます。
当社は、サッポロビールが開発した植物性由来のSBL88を使って、その期待に応える商品開発を行っています。