春の食べ物で体力アップ

  • 野山に色とりどりの草花がほころび始めるころとなりました。
    田畑では早くも稲の苗作りや田起こしの準備に取りかかるため、体調を整えるために薬湯を飲んでいました。
    薬湯とは主に桃の種の中にある胚乳を煎じて飲みました。
    これは「桃仁湯とうにんとう」または「桃仁酒とうにんしゅ(白檀酒びゃくだんしゅ)」ともいわれ、鎮痛・鎮咳・緩下剤として用いられました。
    また、桃の種の成分とよく似ている杏(あんず)は、中国の唐より渡来したといわれる唐桃(からもも)です。
    これは「杏仁きょうにん」と呼ばれ、あんずの実の核中にある仁です。
    白く脂肪に富んでいますので、やはり鎮咳剤・去痰剤として薬用に、また料理用として杏仁豆腐として利用されるのは有名です。

    この時期にお勧めの食べ物はよもぎ、春菊、ハマグリでしょう。
    よもぎ、春菊は3月の物が特に栄養豊富で造血作用に優れています。
    ハマグリにはグリシンやアラニン、グルタミン酸などのうま味成分があり、鉄分を多く含み疲労回復、貧血予防に効果があります。
    さらにタウリンという成分はコレステロールが血管にこびりつくのを防ぎ、血管をしなやかに保ちます。
    3月には桃の節句に3色の菱餅やひなあられをお供えしたり、花見の頃には3色の花見団子を用意しますが、3色の色は白は雪を、緑は雪の下に息づく若葉を、桃色は桃の花をあらわしているのです。
    この時期に摂れるよもぎを茹でて冷凍保存又は干しておき、次の端午の節句に使うのに保存しておくのです

    毎年毎月様々な行事食を通して思いますのは、最近身土不二の心、慈悲の心が失われてきてることです。
    よく子供に対する虐待のニュースを耳にします。
    実は過去最高の件数で増え続けています。
    朝起きて味噌汁の香りに包まれる、包丁の心地よい音、楽しく食べる事・・・
    当たり前のことですが、行事食には日々の家族の絆を深めるためのツールが隠れています。
    出来るところから始めて、日本食に誇りを持って頂きたいと思います。