発酵学をもっと知りたい!東京農業大学で学生生活をエンジョイ!

発酵学をもっと知りたい!東京農業大学で学生生活をエンジョイ!

2011年に味噌の普及活動を始めた当初、実は、味噌の「み」の字も知らずに、スタートしたのです(笑)。
味噌汁を毎日食べるようになって、長年悩みだった肌荒れや体調不良がなくなったので、とにかく「味噌はスゴイ」を伝えたい一心。
「私も勉強しながら味噌のこと伝えます!」と「365日味噌活宣言」をしたのが始まりです。

そんな私を見かねたある方に「味噌のことを専門的に学ぶなら東京農業大学が一番!
聴講制度を利用して勉強してみたら?」と勧めていただき、以来、週1回、学生たちに交じり、味噌をはじめ発酵食品のことを学んでいます。

クラスメイトには、実家が味噌や醤油、酒などの製造元という学生が多く、いずれ家業を継ぐために勉強に来ています。
全国各地の味噌屋さんを訪ね歩くのが趣味の私、たまたま話した隣の席の学生が「あ~、あそこの会社の息子さん!」なんていう、うれしい出会いもあります。
※写真は、神州一味噌発祥の蔵「丸高蔵」にて。

一口に「発酵食品」といっても幅広いのですが、中でも最近気になるのが、「世界最古の調味料」とも称される「酢」です。
酢は、穀物や果実から酒をつくり、酢酸菌を加え、発酵させてつくられる酸性調味料。最近は、飲む酢なども流行っていますが、味噌と同様、酢にもさまざまな健康効果があり、疲労回復、代謝促進、高血圧予防など、健康や美容に役立つ効能が期待できるそうです。

絶世の美女とされるクレオパトラは、毎日酢に真珠を溶かして飲んでいたとか。
酢は、カルシウムの吸収を助ける働きがあるため、カルシウムが豊富な真珠を入れるのは、理にかなった食し方なんだそう。
「あぁ、真珠の味噌汁を飲んで、クレオパトラのようになりたい」と妄想をふくらませている今日この頃です(笑)。

さて、「酢と味噌」のコラボの代表格は、やはり「酢味噌」(ぬた)ですが、歴史はかなり深いようです。
最近、注目を浴びている「万葉集」の中には、「醤(ひしお)酢(す)に 蒜(ひる)つきかてて 鯛願う 吾にな見せそ 水葱(なぎ)の羹(あつもの)」という味噌の前身である「醤」を取り上げた歌があり、当時、ノビルを酢味噌で和え、タイの刺身も味噌和えのようなもので食べていたことが読み取れます。

酢味噌がおいしいワケは味噌の「緩衝能」という力も影響しています。
「緩衝能」とは、本来のpHを保持する能力のことで、たとえば、水に酸・アルカリを添加するとpHが変化しますが、味噌汁では変化が少ないとされています。
味噌の緩衝能には、味噌に含まれる有機酸、アミノ酸類、たんぱく質等が関与しているそうで、味噌汁に具材を入れてもpHの変動は少なく、「酢味噌」の場合は、酸味が和らぎマイルドに仕上がるというわけです。

大昔から、人々の健康を支え、食生活を豊かにしてきた味噌と酢。
まったく異なる風味の両者が合わさることで、この上ないおいしさを醸し出します。
味噌と酢のコラボ、他にも、味噌汁に酢を加えたり、酢と味噌を合わせて煮物や炒め物、ドレッシングなどに活用したりして楽しんでいます。
皆さんもぜひ活用してくださいね。

聴講生活も、かれこれ8年目に突入しましたが、毎回新しい発見があり、ワクワクしながら通っています。
発酵食品に関心のある方は、ぜひ農大のHPを覗いてみてください。
次は、味噌と日本酒のコラボを勉強したいなぁと企んでいます。
味噌汁は二日酔いにもよいとされているので、お酒好きの方にもおすすめです。

【参考資料】
『発酵食品学』(発行/講談社、著編/小泉武夫)、『酢 至宝の調味料 2』(発行/アスペクト)、『酢の機能と科学』(発行/朝倉書店、編/酢酸菌研究会)、『みそ文化誌』(発行/全国味噌工業協同組合連合会)、『味噌と醤油 : 発酵と醸造 : 製造管理と分析』(発行/朝倉書店、著/東和男)、『すべてがわかる!「発酵食品」事典』(発行/世界文化社、監修/小泉武夫・金内誠・舘野真知子)