梅干しの活用法
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梅の実がふっくらと実り、香しい頃となりました。新たな元号となり、令和の名前の由来が万葉集の梅花の歌からの引用とあって、今年は特別な思いをもちながら、梅干し用の梅を仕込みました。
「梅」は花を愛でたり、実を薬用としたり、時には戦の時の非常食として古来より常備されてきました。
また、梅の効用として「梅は三毒を断つ」と伝えられ、梅の持つ強い防腐作用と解毒効果が様々な疫病や食中毒から守ってくれました。私たちが健康で過ごすためには、体が常に弱アルカリ性に保たれなければなりません。
体が酸性に傾くと、体調不良が起きやすくなります。現代の食生活は、どうしても調理時間が短い傾向にあるので、単調なおかず(中食・インスタント食品・冷凍食品)になりがちで酸性食品ばかり摂ってしまいます。すると、自然に野菜や豆料理・海藻料理などのアルカリ性食品を食べる機会が少なくなります。
梅干しは酸っぱいから酸性食品かというと、酸っぱいのはクエン酸によるもので、立派なアルカリ性食品です。梅干しの効用について、主なもののひとつに梅干しによる唾液の分泌が多くなることもあります。
特に唾液の酵素であるアミラーゼ、カタラーゼは、でんぷんを分解し、体内の活性酸素の増加を抑えてくれる優れた働きがあります。
またクエン酸には体内のカルシウムの吸収をよくする働きがあるので、育ち盛りの子供から骨粗しょう症を起こしやすい高齢者まで、梅干しをもっと活用してもらいたいものです。梅の酸味を活かした調理方法として、肉や魚と一緒に煮ると臭みが消え、肉質を柔らかくすることができ、白い野菜と煮ると野菜をより白くきれいに煮あげることができます。
すっぱいものが苦手な方には、「梅びしお」がおすすめ。梅干しの果肉を裏ごし、砂糖やみりんを加えて練り上げたもので、おかゆや薬味にピッタリです。
今ではフリーズドライの梅干し(梅干しを凍結乾燥させ細かく砕いたもの)もあり、料理のアクセントに幅広く使えます。皆さんも普段のお料理やお食事に、ぜひ「梅」を取り入れてみてください。