冷や汁で夏バテを防ごう

  • 風鈴の音が涼やかな季節となりました。今ではエアコンが主流ですが、かつては庭に朝顔や桔梗、ほおずきの鉢植えを置いたり、襖を簾戸にしたり、よしずを立てかけたりして風通しを良くし、服装も浴衣に草履、扇子を身に着けていました。浴衣は今や観光外国人の方々に大変人気だそうです。

    さて、そんな蒸し暑い夏に良く食べる冷たい料理といえば、日本が誇る「手延べそうめん」です。機械でつくるそうめんとは違って手延べそうめんは、まず小麦粉に食塩と水を加えてよく練ります。油を塗ってよりをかけながら引き延ばし、麺状にして乾燥することを手作業で行ったのち、一定期間以上の熟成が行われます。昔はこの工程を冬季に行い、箱に詰めて梅雨明けまで倉庫で保管していました。こうすることにより油臭さがとれ、独特の食感を持ったものになり、大変のど越しの良い麺となります。食すときはビタミン・ミネラル・たんぱく源として、ごまや葱、生姜、しそなどの薬味や豆腐、茹で卵などを添えます。

    次にお勧めしたい冷たい夏の料理は「冷や汁」です。元々九州の郷土料理で、農民が夏の忙しい農作業の合間に火なし料理として食べたのが始まりと言われています。炒った煮干し、ごま、味噌をすり、すり鉢を火にかざして焼いたものを当時は持ち運び、きゅうりやしそ、ねぎ、豆腐などと一緒にご飯にのせ、だしをかけて食べていたようです。近年では煮干しのかわりに焼いた魚(アジやタイ)を用いることもあります。我が家で代々食べられ続けてきた冷や汁は蓼(タデ)の葉入りです。蓼の葉は特有の香りと辛味を含む香味野菜で、薬味やタデ酢、和え物、揚げ物、汁の実としても重宝します。何より、“暑気がとれる”と私もよく食べました。冷や汁に入れる味噌は、焼くことで、さらなる特有の色と香りが増し食欲増進が期待できます。

    夏バテで食欲が落ち込んでいる方は、この夏を乗り越えられますよう、ぜひ、お試しくださいね。