朝晩の味噌汁は、強力な快眠サポーター
日本人(成人)の睡眠時間は、6時間以上8時間未満の人がおよそ 6 割。
人生の約3分の1は寝ていて、さらに、「睡眠」が日中の活力に影響することを考えると、“睡眠が人生を左右する”といっても過言ではありません。
睡眠不足は、作業能率を低下させ、仕事のミスや事故の危険性を高めます。
たとえば、居眠り運転は死亡事故につながりやすいですが、起床後15時間以上では、酒気帯び運転と同じ程度まで作業能率が低下するというから驚きです。
また、あのスリーマイル島原子力発電所事故やスペースシャトルチャレンジャー号事故などは、睡眠不足による眠気が事故原因では、と指摘されています。
大事な仕事や試験、旅行の前日に「眠りたいのに眠れなかった」という不眠体験をもつ人は多いと思いますが、不眠が長期にわたり続き、生活に支障をきたすようになると「不眠症」と診断されます。
厚生労働省によれば、日本人(成人)の5人に1人が、「睡眠で休養が取れていない」「何らかの不眠がある」などの問題を抱えているそうです。
睡眠障害はひどくなると、生活習慣病やうつ病につながる可能性があるので注意が必要です。
とはいっても、仕事、家事、育児、趣味、SNS…、現代人は忙しく、睡眠時間を削るしかない、という人は多いと思います。
そんながんばる人こそ、睡眠の質を高めるために、“ごはんと味噌汁”を活用してほしいなと思います。
良質な睡眠には、「メラトニン」というホルモンを、夜しっかりと分泌させることが大切だといわれています。
メラトニンは明るい光によって分泌が抑制されるため、日中は分泌が少なく、夜間に分泌量が増えます。
味噌をはじめとした大豆食品には、メラトニンの素となる「トリプトファン」が多く含まれているので、味噌汁は「快眠」という点でも積極的に摂りたい食べ物です。
トリプトファンは「必須アミノ酸」の一種で、体内でつくることができないため食事から摂る必要があります。具に海藻や野菜を入れれば、ビタミンやミネラル、食物繊維もバランスよく摂れて、栄養満点の一品に。
朝食をしっかり噛んで食べ、味噌汁で体温を上げれば、日中のパフォーマンス力が格段に上がるだけでなく、夜、メラトニンを分泌させるのを促し「快眠」に役立ちます。
そして、帰宅後も一日がんばった自分に味噌汁を。
夕食に食べすぎたり、脂っこいものを食べたりすると、胃腸に負担をかけ、睡眠の妨げになりますが、味噌汁は消化吸収がよく満腹感もあるので、夜にもぴったり。
体が芯から温まり、リラックス効果も得られます。
また、夜、寝られないからといって、寝酒をしていませんか?
寝酒をすると寝付きが良くなるように思えますが、特に深酒は睡眠にとって百害あって一利なし。
寝酒が日課という方は、“寝味噌汁”を試してみてください。
私自身が日々気をつけていることは、ごはんと味噌汁を中心とした食事、早寝早起き、朝太陽の光を浴びる、夕方以降はカフェインを摂取しない、寝る直前にパソコンやスマホを見ない…など。
これだけで不眠が解消され、日中、全力で仕事も趣味も取り組めています。
なんだか眠くて仕事が進まなかった、遊びが楽しめなかった、という思いはしたくありませんよね。必要な睡眠時間は、人それぞれで年齢や季節によっても変わりますので、この機会に、ご自身の睡眠について考えてみてはいかがでしょう?
味噌汁を上手に活用して、快適な睡眠時間をお過ごしください。
【参考資料】
『スタンフォード式 最高の睡眠』(発行/サンマーク出版、著者/西野精治)
『健康づくりのための睡眠指針2014』(厚生労働省)
『e-ヘルスネット』(厚生労働省)
『睡眠障害の基礎知識-睡眠の生理から治療、職域における対応まで』(発行/日本労務研究会、著者/石井正三、今村聡、島悟、高田勗)
『東書アクティブ・キッズ「眠り」で育つ子どもの力』(発行/東京書籍、著者/白川修一郎)
『医者が考案したがん・病気をよせつけない最強の一汁一菜』(発行/SBクリエイティブ、著者/小林弘幸)