日本が誇る“みそ”
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これまで本コラムでは味噌の魅力について多方面からご紹介してきました。
数ある大豆食品のなかで一品だけに絞るとしたら、文句なしに“みそ”でしょう。
味噌は単なる調味料ではありません。
健康や脳の働きに有効な成分をはじめとする大豆の栄養と、発酵食=菌食が一挙両得できる大変素晴らしい食品なのです。そのような味噌について、私は次の「三つの素」でできていると思っております。 ① 味素(おいしさのもと)・②身素(けんこうのもと)・③美素(うつくしさのもと)です。
1つ目の「味素」とは大豆が発酵するときに増加するグルタミン酸が“おいしい!”と感じる旨み成分で、みそ汁をかつお昆布だしで作るとだしの旨みが加わりさらにおいしくなります。
2つ目の「身素」とは、生みそに含まれる麹菌をはじめとする微生物がとても多くいることです。
この微生物が私たちの腸内環境を良くしています。また、大豆レシチンは脳機能を向上させる働きがあります。
3つ目の「美素」とは和食美人ということです。和食の基本(一汁三菜)は美肌を保つだけでなく味噌に含まれるビタミンEの働きで老化防止にも役立っています。
味噌の有効成分は良質な植物たんぱく質をはじめ、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンE、鉄分などですが、私たちの血や肉となり、動脈硬化を防ぎ、骨を強くし、疲労回復、貧血を防ぎます。
・・・このような究極の伝統食品の味噌を、まずはみそ汁で味わっていただきたいです。
昔から“実の三種は身の薬”といい、みそ汁の具は三種以上が望ましいと言われてきました。
旬の野菜と海藻が加われば現代に不足しがちなビタミン・ミネラルが手軽にとれるのです。私が生まれ育った家では、醤油蔵の匂いと共に家族や蔵職人たちと食卓を過ごし、賑やかなものでした。毎朝出されるみそ汁の匂いは鮮明に記憶に残っており、人間関係も深いつながりがあったように思います。
一杯のみそ汁を通じて、皆様のご健康と幸せの記憶が続きますようお祈りしております。