お月見に味噌けんちん汁を!

  • 秋風と虫の音が心地よい季節となりました。この頃になりますと、我が家ではダイニングテーブルに満月とススキとウサギが描かれたテーブルクロスを敷き、月見の日を心待ちにしています。今年の十五夜(中秋の名月)は10月4日です。別名“芋名月”(イモメイゲツ)とも呼ばれ、里芋などの芋類の収穫を祝う行事です。そして、穀物の収穫に感謝し、米を粉にして丸めて作ったのが月見団子であり、秋の七草と一緒にお供えします。

    秋の七草とは、萩(ハギ)・葛(クズ)・尾花(ススキのこと)・撫子(ナデシコ)・女郎花(オミナエシ)・藤袴(フジバカマ)・桔梗(キキョウ)のことで、それぞれの草花には暮らしに役立つ材料として、薬効成分としても使われることがあります。例えば葛ですが、葛の根から良質のでんぷんをとるクズ粉は、クズ湯やクズもちなどの和菓子に使われていますし、藤袴は茎や葉を乾燥させることで爽やかな香りが生まれます。

  • 月を愛で、作物の収穫に感謝し、季節の花を生ける。そして食卓にはぜひ、味噌けんちん汁を添えてみませんか?けんちん汁には地域ごとの調理法があると思いますが、芋名月ですから里芋を多めに使いたいですね。しかし里芋の種類によってはぬめりの強いものがありますので、食べやすく切り素揚げするとぬめりが抑えられて美味しい味噌けんちん汁を作ることができます。里芋は芋類の中でも低カロリーで、里芋の独特のぬめりや食物繊維により血糖値を抑え、便通をよくする働きがあります。近年全世代で野菜と芋類の不足が続いています。けんちん汁にすることで芋や野菜を加熱して消化を良くし、カサも減り沢山食べられます。また味噌仕立てにすることにより、野菜のうま味の相乗効果でさらに美味しくなります。

    ストレス社会ともいわれる現代、たまには月(遠くの視覚)花(嗅覚)味噌けんちん汁(味覚)で神経のバランスをはかり、心と身体を癒してください。