おいしいだけじゃない!?「みそたまり」のパワーの秘密
「手づくりみそ」に重しをしてしばらくすると、しょうゆのような液体が上がってきた経験はありませんか?
そう、それが「みそたまり」です。みその発酵・熟成中にできる、みそから分離した液体のことで、みそのエキスがぎゅ~っと凝縮されています。
「みそたまり」は極めて少量しかとれず、商品として販売しているものもありますが、流通量はかなり少なく貴重なものです。
手前みその場合、みそに混ぜ込んでもよいのですが、私は「みそたまり」を取り出し、お刺身や納豆にかけていただきます。うま味たっぷりで濃厚な風味は、病みつき必須のおいしさです。
その「みそたまり」についての興味深いデータがあります。「みそ中の成分“DDMPサポニン”が疾病や老化の原因になる活性酸素を消去」(1994年)という、東北大学・故大久保一良教授の研究データからご紹介します(参考:「みそサイエンス最前線」みそ健康づくり委員会)。
みその主原料である大豆には、疾病や老化の大きな原因とされる「活性酸素」を消去する作用があることが知られていますが、大豆のアク成分であるサポニンのうち、「DDMPサポニン」に活性酸素を消去する作用が確認されました。
現在、地球上に生き、酸素にさらされている生物は、活性酸素を消去する能力を備えているそうです。活性酸素を消去する酵素(SOD)の活性は人間が一番高く、続いて、ゴリラやチンパンジーで、他の動物に比べて寿命が長いのはこのためだとか。
人間よりさらに寿命が長い生物は「植物」で、植物自身に活性酸素を消去する成分「ラジカルスカベンジャー」が存在するからと考えられています。つまり、ラジカルスカベンジャーを含む食品を多くとることで、健康維持、老化防止に期待ができるというわけです。 これまで、ルイボスティーの葉や、なす、黒豆などに含まれるアントシアン系の物質に活性酸素の消去作用が強いことがわかっていましたが、大久保教授らの研究では、その他にどんな食品に作用があるのか、また、測定方法を研究発表されました。
結果、みそとしょうゆの数値が高く、これは、原料である大豆の中に「DDMPサポニン」があるためではと考えられました。みそ以上に活性酸素を消去する力が強い食品は一般食品にはなく、中でも「みそたまり」に、もっとも高値のラジカルスカベンジャーを検出したそうです。
まだ試験管内の実験ではありますが、伝統的な食品であり、栄養価の高いみそを生活に取り入れることは、体の調子を整え、アンチエイジング効果もおおいに期待されます。女性にとって一生のテーマである「アンチエイジング」。「みそたまり」を見たら、ぜひ思い出してくださいね。